「口腔崩壊」という言葉を聞いたことがありますか?
はっきりと定義されているわけではありませんが、お口の中にむし歯が10本以上あったり、歯の根っこしか残っていない未治療の歯が多数あったりする状態が「口腔崩壊」と呼ばれています。
子どものむし歯が少なくなってきている近年、こんな「口腔崩壊」と呼ばれる状態に苦しんでいる子どもたちが存在している現実があります。
こんにちは。カラベアです。
今回は、むし歯が深刻な状況まで進行してしまった「口腔崩壊」について紹介したいと思います。
なかなかショッキングで悲しい気持ちになる内容もありますが、こんな実情もあるのだと皆さんにも知って欲しいと思いますので、是非最後まで読んでいってください。
学校現場で問題になる口腔崩壊
全国保険医団体連合会が2018年4月に出した「学校歯科治療調査中間報告」で、全国の21の都道府県の中で口腔崩壊の子がいた小学校は39.7%、中学校32.7%、高校50.3%、特別支援学校が45.1%という調査結果が出ました。
これは全国の学校のほぼ3校に1校の割合で、むし歯が10本以上あったり、歯の根っこしか残っていない歯が多数存在する「口腔崩壊」に陥った子どもたちが存在することを示しています。
このような調査は過去何度か実施されており、子ども全体のむし歯の減少が進む一方で、適切な治療を受けられずむし歯が深刻化する2極化が進んでいます。
実際、学校現場にいる先生達の声としては
「毎年、学年に1、2人口腔崩壊とみられる子がいる」
「兄弟とも根っこだけの歯がたくさん、その父親も歯がない」
「ほぼ前歯がなくあまり笑わない子がいる」
「歯が1本もなく根っこだけ残った歯茎で、すり潰すように食べる子がいる」
といった悲惨な内容が挙げられています。
口腔崩壊で画像検索していただくと、深刻な状態になった口腔内の写真がでてきます。かなりショックの強い写真ですので検索する方は注意してください。
こちらは2017年の記事になりますが、NHKのニュース番組「おはよう日本」の記事に載っていた、まだショックの軽い「口腔崩壊」の写真です。
画像転載元https://www.nhk.or.jp/ohayou/digest/2017/09/0902_2.html
もし自分の子どもの口の中がこの写真のような状態だったら・・・
そう思うと寒気がします。
カラベアもこの内容を調べていて、口腔崩壊を気にしてかほとんど笑わない子がいると知ったとき、その子の気持ちを想像して涙が出そうでした。
口腔崩壊が引き起こされる実状
どうして口腔崩壊は引き起こされてしまうのでしょうか?
そこには、経済的な貧しさや忙しさ、子どもへの関心の低さ、乳歯と永久歯についての間違った知識などが影響しています。
調査から見えてきた現状
口腔崩壊が引き起こされる状況には、次のような現状があるようです。
夫婦共働きや一人親で働きながら子どもを育て、経済的にもギリギリな生活。
歯磨きは行き届かず、むし歯になった後も仕事が忙しく休みが欲しいとは言い出せない。
病院や歯医者に何度も連れて行けば家計の負担も大きい。
そんな日々の苦しさに追われているうちに、気づけば子どものむし歯が広がってしまった。
学校検診でむし歯が見つかり、プリントなどで家庭に歯科の受診をおねがいする。
なかなか学校への受診報告をもらえないため保護者に尋ねてみるが、返ってくる言葉は・・・
「子どもが治療を嫌がる」
「乳歯は生えかわるからそのままでいい」
「困っていない」
経済的な貧しさと忙しさ、子どもへの関心の低さ、乳歯と永久歯の間違った理解が浮き彫りになります。
治療費のみの問題であれば自治体などのサポートも利用できる場合もありますが、各家庭の事情もあり学校もなかなか踏み込んだ対応が難しい問題です。
「児童虐待」のニュースがたびたび報道されていますが、こういったところにも学校や児童相談所といった公的機関の仕組みだけではカバーできない状況が見えてきますね・・・。
口腔崩壊がもたらす被害
口腔崩壊の影響は、むし歯の痛みや見た目の悪さ、痛みで固い物が食べられないなどの直接的なものだけではありません。
むし歯は頭痛とも深い関係があります。
穴が空いている、明らかにむし歯があると分かる場合、そのむし歯は神経(歯髄)にまで進行している可能性が高いです。
むし歯が歯の内部の歯髄(神経)まで進行すると、歯髄炎(神経の炎症)が起こり痛みが出るのですが、重度の歯髄炎は歯の痛みだけにとどまりません。
むし歯菌が顎の神経に侵入し炎症原因が広がると、顔のはれや頭痛につながります。
また、むし歯を避けて噛もうとすることで噛み合わせが悪くなり、それが肩や首のコリを引き起こし体の不調や頭痛につながることもあります。
もしも、悪性の菌が神経に入り感染してしまうと、心臓病や高血圧、糖尿病の原因にもなり最悪の場合、命に関わるケースも考えられます。
ここまで来てしまうと、子ども時代だけの一時的な問題ではなく一生抱える問題になってしまいます。ですが知識と理解と適切な対応があれば、このような事態は回避できるのです。
「どうせ永久歯に生えかわるのだから、乳歯のむし歯はそのままでもいい」
このような乳歯のむし歯と永久歯の間違った理解を改めていただくため、乳歯と永久歯の関係も説明させていただきます。
乳歯と永久歯の関係
乳歯は大人の永久歯に比べて歯の密度が低く歯質が弱いので、むし歯になりやすいです。サイズも永久歯より小さく歯の厚みも少ないので、むし歯になってしまうと進行スピードが速く、周りの乳歯にもすぐに広がります。
乳歯と永久歯が正しい場所に存在することが、他の永久歯の生えるスペースの確保と、永久歯が正しい位置に生えるガイドの役目を果たし、正常な歯列を作ってくれます。永久歯が生える前から、むし歯で乳歯が失われてしまうと綺麗な歯並びになるのは難しいのです。
乳歯の時期に重い口腔崩壊を起こし、永久歯が生えた時点ですでにむし歯になってしまっている悲惨なケースもあります。
正しい歯磨き習慣を身につけていない子どもは、大人になってからも口腔崩壊を起こす可能性が高いです。その生活習慣がまた次の子どもにつながる負の連鎖も問題になっています。
むし歯が広がり口腔崩壊になってしまい、思いっきり笑うことができない子の悲しみを想うと胸が詰まります・・・。
子どもの自信を奪い、精神的な成長に大きなマイナスです。身体的にも経済的にも様々な面で子どもの豊かな将来を潰してしまいかねません。
このように乳歯のむし歯と永久歯は決して無関係ではなく、子どもの口腔内への無関心や必要な歯の治療を受けさせないことは「デンタルネグレクト」といわれ、児童虐待のひとつとされています。
経済的な理由で受診が難しい場合、自治体の行う無料低額診療事業という制度も存在しています。もしお困りの方がいたら各自治体の生活保護制度と合わせて調べてみてください。
そして、どうか皆さん自分のお子さんのことだけでなく、他のお子さんの口腔内も気に掛けてあげてください。
子どもたちの健康を守ることはもちろんのこと、もっと大きな虐待につながる前に見つかれば、助かる子どもがいるかもしれません。
お子さんの乳歯が抜けるまで大事に守ってあげてほしい
カラベアは乳歯を綺麗に残そうという意識が広まることは、子どもたちの口腔内の健康を守ることにもつながると信じています。
乳歯宝石化サービス Jewel Teeth (ジュエルティース)では、ピカピカに磨かれた乳歯を想い出の宝石として残してもらうために、乳歯磨きサービスや、オリジナルの乳歯入れや乳歯アクセサリーを製作しています。
お子さんの乳歯を大切に残しておきたいという気持ちは、子どもの健やかな成長を喜び見守り続けたいという愛情の証です。
Jewel Teeth のサービスを利用する人々のそのような想いを胸に刻んで、乳歯磨きサービス、乳歯入れ乳歯アクセサリー製作をさせていただいています。
しかし、このような記事を書いてみて、Jewel Teeth が直接的に口腔崩壊の子どもたちの力になれるサービスではないことに無力感を感じずにいられません。
せめて乳歯を想い出の宝石として大切に残しておきたいという人々の想いを、素敵な作品に変えて目に見える形で残すことで、その想いに共感してくれる人々を増やすお手伝いができたらいいなと思います。
こんな大きなことを言うと個人の力で何ができるのだという戸惑いと、結局サービスとしてお金をいただく以上は自分自身のためにやっているのだという葛藤もあります。
しかし自分の生活のための仕事が、社会のためにどれだけ役立てられるのかというのは、自分の心で決めなければならないことだと思います。
“乳歯を綺麗にそして大切に残そうという想いを広め、子どもたちの口腔崩壊を一人でも食い止める”
小さなカラベアの大きな大きな目標です。
乳歯アクセサリーの一例です
今回は、「口腔崩壊」の恐ろしさについてお話させていただきましたが、最後まで記事を読んでいただきありがとうございました。
最後に、宣伝チックなお話も入れてしまい申し訳なかったですが、また皆さんの関心をもっていただけそうな情報をお届けしていきますね!
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