乳歯宝石化サービスJewel Teeth誕生のお話 その1 乳歯磨きアイデア発見の巻

「へー、子どもの乳歯入れっていろんな種類のものが売られているんだな。」

「これは子どもの歯列の並びどおりに入れられて・・・」

「こっちのは抜けた日の記録もつけたりできるのかー。ふむふむ面白い。」

オンラインショップの商品紹介ページをポチポチ・・・

「ん?」「これってもしかして・・・」

「ここに入れる乳歯を綺麗に磨いてあげたら、喜んでくれる人がいるんじゃない?」

2018年、秋も終わりが近づく頃、オンラインショップで歯科用品を見ていた私は、お子さんの抜けた乳歯を大切に保管するため、たくさんの乳歯入れケースが販売されていることに気づきました。

「乳歯入れに入れる乳歯をピカピカに磨いてあげたら喜んでくれる人がいるかもしれない!」

そう思いついたことが、乳歯宝石化サービス Jewel Teeth (ジュエルティース)の全ての始まりになります。

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こんにちは。カラベアと申します。

鹿児島市で父の経営する小さな歯科技工所で働く歯科技工士です。嫁さんとペットの猫とウサギと一緒に暮らす30代の男性です。

このブログ『Jewel Teeth Project カラベアの乳歯の宝石製作ブログ』の中で、乳歯宝石化サービス Jewel Teeth に関する情報から、製作現場の様子や日常のささやかな風景まで、あれこれお話しさせていただいています。

本来、カラベアは Jewel Teeth (ジュエルティース)のイメージキャラクターとして、サービスの紹介や宣伝のために考え出したキャラクターなのですが、このブログ上では私の分身としても活躍してもらっています。

ありがとうカラベア!

(・・・とは言っても個人でチマチマとやっているブログであり、あまり仰々しく宣伝できるような内容でもありませんがご覧いただけるとすごく嬉しいです。)

記念すべき最初のブログ記事ともなりますこのページは、Jewel Teeth 誕生のストーリーをもう少し詳しくお話しさせていただきます。少し長話になってしまいますのでお時間の許す方は読んでいただけると幸いです。

目次
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 『歯科技工という仕事』

皆さんは歯科技工という仕事を知っていますか?

歯医者さんで歯の治療をしてもらうために銀歯やかぶせ物、入れ歯などを入れてもらったりしますよね?

そういった患者さんそれぞれのお口の中の機能や健康をサポートするための医療用の器具や装着物のことを歯科技工物補綴物(ほてつぶつ)と呼びます。

お口の中の感覚器官はとても敏感なので、銀歯や詰め物など歯1本のほんの一部に装着するようなものであっても形態や機能に問題があるとすぐに違和感が出てきます。

それにお口の中ってけっこう過酷な環境です。熱い食べ物、冷たい飲み物、飲食物の影響で温度変化や酸性アルカリ性も極端に変化します。歯を観察してみると、擦り減るくらいぶつかり合っていますし、踏ん張るときには歯を食いしばってかなり強い力も加わります。

普段当たり前に考えているお口の中の環境ですが、あらためて見直してみるとなかなかハードな環境ですよね?

そんな環境下でも十分に使用でき、なおかつ患者さんそれぞれの特徴や生活環境から生じるクセ、見栄えなども考慮して作っていくわけですから、歯科技工物は頑丈でかなり精密なモノを求められることが分かるかと思います。

そんな風に歯科技工の作業はかなり繊細な仕事で、技工物を製作するということのみに関していえば、国家資格をもった歯科医師や歯科技工士にのみ許されています。

 『カラベアの仕事』

カラベアは南国かごしまで、この歯科技工をしている歯科技工士の一人です。

カラベアの実家は歯科医院から注文を受けて歯科技工物を製作する歯科技工所を営んでおります。専門学校で歯科技工士の国家資格を取得後、別の歯科技工所で5年間働いたのち、実家の歯科技工所である「メタフィジカル歯研」に勤務しました。

やる気まんまんで働いていたカラベアでしたが、入って半年ほどして早速大きなピンチを迎えます。仕事が全然足りないのです。そしてお金も全然足りないのです。(涙)

もともとカラベアの実家「メタフィジカル歯研」は、父ともう一人勤めている技工士さんと二人で技工の仕事をしていましたが、そこにカラベアが入ったことにより、そのままの売り上げでは全然給料をまかなうことができません。

なんとか売り上げをつくり経営を安定させなければ・・・

  •  新しく仕事をもらうべく歯科医院に営業に行ったり
  •  料金体系を見直したり
  •  歯科医院側の意見を聞きにコミュニケーションを増やし品質向上を図ったり
  •  患者さんに喜んでもらえるようメッセージカードを付けてみたり

・・・あれこれ努力をしてみましたが、なかなか成果にはつながりませんでした。

 『現状の打開策を真剣に考えてみる』

「どうすればこの状況から抜け出せるんだろう?」

カラベアの足りない頭で毎日考えます。これまでほとんど読んだことのなかったビジネス書などもあれこれ読んでみました。

最近は便利な世の中なので仕事の時もポッドキャストという音源配信サービスを利用しビジネス系の番組をいろいろ聞きました。(・・・ビジネス系番組を聞いているフリをして面白系番組もいろいろ聞きました)

その結果なんとなくの方向性として考えついた方法は2つです。

  1. 営業に力を入れて新しく仕事をもらえる歯科医院を開拓する。
  2. 仕事をもらっている歯科医院を盛り上げて、患者さんを増やして仕事もたくさんもらう。

時間をかけて考えたのに、単純なアイデアが2つですね。面白番組を聞きすぎました(笑)

ですが、方向性は決まったのでこの2つの方法を達成するためにカラベアなりに考えてみました。

まずは方法1「営業に力を入れて新しく仕事をもらえる歯科医院を開拓する」についてです。

すでに営業に行って思うような成果を出せていません・・・。成果が出るまでひたすらやってみる方法もありますが、他の歯科技工所も同じように仕事をもらうために努力しています。

価格と品質だけでの勝負になればメタフィジカル歯研のような小さな歯科技工所が、設備や人材の揃った大きな技工所や、同じように小さな技工所でも低価格で勝負しているところと戦うのは大変です。

新しい歯科医院に営業するにしても、なにかメタフィジカル歯研だけのオンリーワンのモノが欲しいところです。

次は方法2「仕事をもらっている歯科医院を盛り上げて、患者さんを増やして仕事もたくさんもらう」についてです。

うーん・・・歯科医院を盛り上げるというのもなかなか一筋縄ではいきそうにありません。

技工士の仕事の王道である「質の良い技工物を患者さんに届ける」ということができれば、患者さんも喜び歯科医院も盛り上がるのでしょうが、それは常に努力していることでもあり短期間で結果に結びつけることは難しそうです。

そもそも歯科医院側が歯科技工所に、良い技工物を製作してもらうこと以上に何か働きかけられることを受け入れてくれるかということも大きな壁になりそうです。

となると歯科医院側に負担がない形で患者さんに喜んでもらって、盛り上げることができればベストでしょうか。

正直なところはカラベアは、コミュニケーション能力不足型人間です。とくに人に何かを頼んだり、自分の気持ちを伝えたりすることが苦手です。リアクションの薄さと不満と希望のはっきり言わなさに関しては、なかなかのモノがあると嫁さんにも公認してもらっています。(笑)

カラベアの性格まで考慮すると、カラベアのコミュニケーション能力に頼りきらないで患者さんを喜ばせたいものです。

2つの方法ともろもろの条件をカラベアが考えた結果、

①他の歯科技工所のやっていないこと

②歯科医院に負担が少なく患者さんが喜んでくれること

③コミュニケーション能力だけに頼らないこと

この3つの条件が見えてきました。この条件をクリアできる方法を見つけだすことが、現状から抜け出せる糸口になりそうです。

『解決策を探そう!』

考えた3つの条件をクリアする方法を見つけだす。ここからはアイデア勝負です!

「・・・足の悪い患者さんがいるから送迎サービス?」「んー無料じゃできないな・・・」

「・・・入れ歯の手入れの仕方のチラシを作ってみる?」「えーと面白くできるかな・・・」

「・・・歯科の豆知識とか集めてまとめてみようか?」「うーんなんか惜しいな・・・」

「・・・面白歯科グッズを紹介してみる?」「おっ結構よさそうな感じじゃない!」

「じゃあ早速ネットで何か面白そうな歯科グッズがないか探してみよう!」

「・・・・・・」

「へー、子どもの乳歯入れっていろんな種類のものが売られているんだな」

「これは子どもの歯列の並びどおりに入れられて・・・」

「こっちのは抜けた日の記録もつけたりできるのかー。ふむふむ面白い。」

オンラインショップの商品紹介ページをポチポチ・・・

「ん?」「これってもしかして・・・」

 

「ここに入れる乳歯を綺麗に磨いてあげたら、喜んでくれる人がいるんじゃない?」(凄いアイデア見つけたかも・・・)

 

このアイデアが3つの条件をクリアするアイデアとなるのかについても考えてみます。

①「他の歯科技工所がやっていないこと」

今まで抜けた乳歯を磨いてくれるサービスなんて聞いたことがありません。メタフィジカル歯研だけのオンリーワンのサービスになりそうです。

②「歯科医院に負担が少なく、患者さんが喜んでくれること」

歯科医院の治療などでお子さんの乳歯が抜けたとき、患者さん家族にその乳歯をお渡しするそうなのですが、もらっても保管の仕方に困ってしまうという方もいるようです。

そういった方に合わせた乳歯磨きサービスにすることができれば患者さんも喜んでもらえますし、歯科医院にとっても乳歯磨きサービスを紹介してもらう程度で実際に磨き作業をしてもらうわけではないので負担も少なそうです。

③「コミュニケーション能力だけに頼らないこと」

これも乳歯磨きというサービスが主役となるので、しっかりと乳歯を綺麗に磨きあげることができればサービスの魅力で、カラベアのコミュニケーション能力不足の部分をカバーすることができそうです。

ただし、もしこのサービスを利用したいという方が現れたとき、ただ単純に乳歯が綺麗になれば良いわけではなく、お子さんとの大切な想い出の証として綺麗に残しておきたいという気持ちを第一に尊重するサービスでなければなりませんね。

こうやって考えてみると 、やっぱり乳歯磨きというアイデアは凄い可能性を秘めていそうです。(嬉)

こうしてメタフィジカル歯研の新しいサービスとして、カラベアの乳歯磨きの研究がはじまります。

 『乳歯磨きへの挑戦』

カラベアが乳歯磨きというアイデアを発見するまでには、このようなストーリーがありました。実は他にもいろいろ浮かんだアイデアがあったのですが、その中からカラベアが乳歯磨きサービスに挑戦してみようと思った理由もお話しします。

オンラインショップで乳歯入れケースを購入している方たちのレビューの多くには、「抜けた乳歯を大事に保管できて嬉しい」ということが書かれています。

お子さんの成長や想い出を感じられるものなら、どんな些細なモノでも大切に残しておきたい気持ちはカラベアもとても共感できます。

それならば、抜けた乳歯もピカピカに磨いてあげたら喜んでくれる人が絶対いるはずだと考えたのです。

実はカラベアの義理の両親も、お子さんの抜けた乳歯を大切に保管している人たちでした。だから最初に乳歯磨きの研究のために磨いた乳歯は、カラベアの嫁さんの乳歯になります。

お子さんの乳歯を大切に残している人たちにとって、その乳歯は想い出の宝物なので、簡単に他人に預けたりはできません。

カラベアが実際に本物の乳歯を使って、乳歯磨きの研究をはじめられたことは、嫁さんや義理の両親と出会えたおかげです。

そしてすぐ身近な家族から乳歯を大切に残しておきたいという気持ちを直接聞けたことも、サービスを考えていく上で大きな助けになりました。

こうして乳歯磨きというアイデアを思いついたことも、乳歯磨きの研究のために20本全部揃った乳歯を手にすることができたのも、もの凄い幸運なことなんです。

これはもう何かの縁だということを感じずにはいられません。だったら何が何でも頑張るしかないですね!

そんなこんなで、カラベアの嫁さんの貴重な20本フルコンプリートの乳歯たちのおかげで、乳歯磨きの研究は進み、ピカピカに輝く乳歯を生み出す技を身につけることができました。

そして、この乳歯磨きをどのようにして喜んでもらうかのサービスの中身作りも行い、乳歯を想い出の宝石にするというコンセプトで Jewel Teeth という名前をつけました。

今は何とか、喜びの声もいただけるサービスとして提供できるところにまで辿り着くことができています。

その中でオリジナル乳歯入れや、乳歯アクセサリー製作も行うようになるのですが、そのお話はまた次の機会にさせていただきますね。

最後に

最後にここまで長々とお話を読んでいただいた方たちに、謝らなければならないことがあります。

申し訳ありません。乳歯宝石化サービス Jewel Teeth は、まだ現段階では店舗とバックオフィスをしっかりと構えて、隅々まで配慮が行き届くように考えられた便利なサービスではありません。

歯科技工の業務もこなしながら、ほぼ個人で行なっているサービスのため、身勝手ながら何とか空いた時間を使って、お客様とやりとりさせていただきサービスを提供させていただいています。

「すぐに、気軽に、お値打ちに」

できる限りたくさんの人にサービスを快く利用していただきたい、そんな気持ちとは裏腹に、 Jewel Teeth はお客様の温かいご理解とご協力の上でサービスが成り立っているような状況です。

そんな中で乳歯がピカピカになって喜んでくれる皆様には感謝しかありません・・・。

この乳歯磨きというアイデアが、カラベアとメタフィジカル歯研を救ってくれるアイデアなのか、ということも今はまだ何とも分りません。

ピカピカに輝く世界にひとつだけのお子さんの乳歯の宝石のように、この Jewel Teeth というサービスも大切に磨きあげている最中なのです。

「大切なお子さんとご家族が、何かの縁に結ばれて出会うことができたことのように」

カラベアがこのようなサービスを始めることになったのも、何かの縁に後押しされているのだと信じています。

カラベア家にはまだ子宝が恵まれてはいませんが、このサービスを作り上げていく中で、お子さんの乳歯を大事にとっておくという気持ちにさらに強く共感できるようになりました。

乳歯そのものに宝石のような高級な価値があるわけではありません。

しかし、「ほんの1㎝前後の小さな小さな乳歯でさえも大切に残しておきたい」というその行動の中には、「我が子の健やかな成長を願い、いつまでも見守り続けたい」という温かい想いがあふれているのです。

この Jewel Teeth というをサービスを大切に育てていきたいという想いが、どこかそんな人々の温かい想いと重なって思えてしまうのです。

“そんな素敵な温かな想いを、この Jewel Teeth が素敵な想い出の宝石として残していただく手助けとなればいいな”

そんな風に考えて、今日もどこかで乳歯がピカピカになって喜んでくれる誰かの笑顔を想像しながら、カラベアは乳歯磨きに励んでいます。

最初に乳歯磨きに挑戦した時の写真

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カラベアの嫁さんの乳歯です 乳歯磨き前後のビフォーアフター

なかなかの長話になってしまいました。記憶をたどりながらできる限り伝わりやすいようにと書いてみたのですが、アイデアを生むための試行錯誤はもっと無駄な時間や回り道もたくさんありました。

そういったカラベアの残念すぎる部分を省略させていただいたことはご容赦ください。そして普段は「週間少年ジャンプ」くらいしか読まない素人の拙い文章を、最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。

次回は乳歯宝石化サービスJewel Teethの開発ストーリーもお話させていただきますので、ぜひ読んで欲しいです!

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