4歳の子どもの乳歯が抜けるのは早すぎます。骨の病気『低ホスファターゼ症』について。

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4歳にもならない子どもの乳歯が抜けてしまった・・・

それほっといちゃダメなパターンかもしれません。

骨の成長を促す酵素が不足している病気が存在します。

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こんにちは。カラベアです。

最近、転倒や衝突などのケガ以外で子どもの乳歯が抜けてしまうケースがあるというのを知って驚きました。

子どもの乳歯が欠けてしまった、歯茎にめりこんでしまった、抜けてしまった。

遊んでいてぶつかったり、転んでしまって歯をうちつけてしまい顔が血だらけに・・・。

その姿は衝撃的でトラウマものではありますが、実はそういったケガで歯科にやってくる子どもはそれほど珍しくはありません。

以前、記事にしたので興味のある方はどうぞ。

しかし、最近「低ホスファターゼ症」という難病が原因で乳歯が抜けてしまうというケースがあることを知りました。

そこで今回は、カルシウムが骨に定着しにくくなり、骨が弱くなってしまうため全身への悪影響や、乳歯まで抜けさせてしまう・・・。

そんな「低ホスファターゼ症」の話をしたいと思います。

目次
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「骨の成長を促す酵素が不足する低ホスファターゼ症」

まず初めに健全な乳歯と永久歯の生えかわりからお話させていただきます。

皆さん子どもの歯の生えかわりの時期ってご存知ですか?

生後6ヶ月くらいで前歯が生えはじめ、3歳ぐらいで子どもの歯列である「乳歯列」が完成します。

ちなみに乳歯列は上の乳歯10本、下の乳歯10本の合計20本です。

この乳歯列は5~6歳ぐらいから大人の永久歯に生えかわり始め、12歳ぐらいには永久歯列が完成します。

つまり通常、子どもの乳歯が最初の永久歯に生えかわるのは5~6歳くらいとなります。

これが基本的な歯の生えかわりのサイクルなのですが、そのパターンから外れて乳歯が抜けてしまうケースが存在します。

ケガによって乳歯が抜けてしまうケースはそれほど珍しくないということは、冒頭でお話ししました。

しかし、ケガもしておらず思い当たることが特にないのに、乳歯が年齢よりも早く抜けてしまう場合、低ホスファターゼ症という病気の可能性が考えられます。

この病気は、アルカリフォスターゼという骨を強く健康にする働きをもつ酵素が足りないために発症します。

症状の重症度や出現時期にもよるのですが、重症の場合は胎児期から肋骨の育ちが悪く出産後、呼吸不全となることもある怖い病気です。

重症な場合は15万人に1人程度、軽度な場合であれば5万に1人程度の割合で存在しているようです。

患者さんによって、症状の重さが幅広く、発症する年齢もバラバラです。

そのため症状と発症時期別に5つ、場合によっては6つにタイプ分けされています。

この記事では全てのタイプの説明までは割愛させていただきます。

ただ幼児期の症状としては、低身長や運動発達の遅れ、走るのが苦手、疲れやすい、骨折しやすいなどがあり、乳歯が生えかわりの時期より早く抜けてしまうことがあるようです。

「低ホスファターゼ症で抜けた乳歯の見分け方」

※歯の写真がでます。苦手な方はご注意をお願いします。

そんな低ホスファターゼ症の見分け方をひとつ紹介します。

まだ4歳にもならない子どもの乳歯が抜けてしまった⁉

もしかして低ホスファターゼ症なんじゃ・・・。

こんな時は、抜けた乳歯の形をよく観察してください。

乳歯の根っこの形から異常な抜け方か、正常な抜け方か判断することが出来ます。

抜けた乳歯の根っこが細長く残っているそんな場合は異常な抜け方です。

本物ではなくプラスチックの乳歯模型ですが、根っこが残っているというのはこんな感じ。

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それに対して正常な抜け方であれば、次の写真のような感じです。

ちなみに、こちらカラベアの嫁さんの乳歯。

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(保存時の色素沈着で赤いですが普通はもっと白いです。

実は嫁さんの両親とも歯科関係者なので、乳歯を全て保管してくれていました。

全部揃っているのは貴重です。)

画像のような抜け方が正常な乳歯の場合、根っこが無くなってしまうのはなぜかというと、生えかわる永久歯をつくるのに根っこのカルシウムを吸収して再利用するから。

生えかわりが始まる前、通常の場合、乳歯の下にはすでに永久歯がスタンバイしていて、その永久歯は乳歯の根を溶かしながら上に伸びていきます。

最終的には乳歯の根を溶かしきって支えが失われたとき、乳歯が自然と抜け落ちる仕組みになっているんですね。

ところが低ホスファターゼ症の場合、まだ永久歯が上に伸びてきていないにも関わらず、乳歯が抜け落ちてしまいます。

これは乳歯の根の周り(セメント質という部分)と骨をつなぐ力が弱く、乳歯を支えることできないため。

当然、永久歯が乳歯の根っこを吸収していないので、細く長い根っこが残ったままの乳歯が抜けてしまうというわけです。

また1本だけ抜けるというよりは、続けて2本、3本と抜けてしまうこともあります。

ここで気をつけたいのが、どうせ永久歯が生えてくるからと放置してしまえば、低ホスファターゼ症に気づくのが遅れてしまいます。

そして適切な時期に乳歯が残っていないというのは、生えかわる永久歯の噛み合わせや歯並びが悪くなるなど様々な悪影響の引き金にも。

根っこがそのまま残って抜けた乳歯には、やはり注意が必要です。

「低ホスファターゼ症のサイン、チェックポイント」

そんな低ホスファターゼ症のチェックポイントをまとめましたので、ご参考までに。

要注意ポイント(ひとつでも当てはまれば歯科への相談を推奨)

  • 4歳以下で乳歯が抜けた
  • 同じ時期に続けて乳歯が抜けた
  • 抜けた歯の形が細長い(根っこがそのまま残っている)

要観察ポイント

  • 同年齢の子に比べて身長が低い
  • 歩き方や立ち姿のバランスが悪い
  • 何もない場所や、何でもないタイミングでよく転ぶ
  • 走ったり運動が苦手
  • 骨折しやすい

「乳歯が早く抜けてしまったら」

もしも乳歯が早く抜けてしまった場合、小児科で検査してもらうのが安心です。

まずは抜けた乳歯を持って小児歯科に受診することからでもかまいません。

歯科では、抜けた乳歯がいつどうやって抜けたかを確認し、口の中のエックス線で乳歯の下の支えがしっかりしているか診断してもらえます。

そこで疑わしい場合は、小児科でさらに精密な検査をしてもらうという流れになります。

血液検査で骨を強くする酵素であるアルカリフォスターゼの割合を調べたり、全身の骨の状態まで調べたりしてもらえます。

先ほど、症状が患者さんによって差が大きいと伝えましたが、たとえ低ホスファターゼ症と診断されても、乳歯が早く抜ける程度で影響はほとんどないという場合もあります。

ただし成長の段階で重い症状が出てくることも考えらえるので経過観察は必要です。

カラベアも最近まで知りなかった病気なのですが、皆さんもこんな病気があるのだと頭の片隅に置いてください。

 

そして成長する大切なお子さんの、口の中や歯の変化を意識して見守ってくださいね。

ということで今回の記事は「低ホスファターゼ症」の紹介でした。最後まで記事を読んでいただきありがとうございました。

ちなみに乳歯が抜ける程度といっても侮ってはいけません!

早く乳歯が抜けてしまったのを放っておくと、永久歯の歯並びが悪くなったり、噛み癖、顎の発達、言語の獲得に影響が出る可能性がありますので、要注意ですからね。

「おまけ」

途中で画像を出した嫁さんの乳歯ですが、歯科技工士であるカラベアが補修して磨いて、ディスプレイ用に加工しました。

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結婚記念日にハンドメイド乳歯入れと一緒にプレゼントしたら、喜んでくれましたよ!

写真を出すと嫁さんの名前のイニシャルまでバレてしまいますね(笑)

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ハンドメイドの心得は全然ないカラベアですが、チマチマと作りました!

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