「3歳までにむし歯菌に感染しなければ一生むし歯にならない」という話を聞いたことはありませんか?
もしホントにお子さんが一生むし歯にならずに済むならとても嬉しいですね。
でもこの話って本当なのでしょうか?
こんにちは。カラベアです。
今回は、皆さんが疑問に思いそうな「乳歯とむし歯」についてのお話をさせていただきます。カラベアは乳歯の解説書をつくるために乳歯について色々と調べているので、そのあたりは少し詳しかったりしますので。
「3歳までにむし歯菌に感染しなければ一生むし歯にならない」という話、カラベアもどこかで耳にしたことがありました。
子育て中のママさんの中には、お子さんにむし歯菌がうつらないように気をつけている方も少なくないのではないでしょうか?
このお話はホントなのか?
今回はこの話についてカラベアが調べたを内容をお話します。それでは結論から。
「3歳までにむし歯菌に感染しなければむし歯になりにくくなるのはホント」
「ただし絶対ならないわけではないので、やはり日頃の歯磨きやケアは大切」
カラベアが調べた結果、どうやらこの話はおおむねホントのようです。
それでは、どうして3歳までにむし歯菌に感染しなければむし歯になりにくくなるのか簡単にご説明させていただきますね。
細菌がお口の健康を守っている⁉
人の身体には多種多様な細菌や微生物がいます。そういった人の身体に住み着いた細菌や微生物を常在菌と呼び、お口の中には500~700種類もの常在菌が住み着いています。
お口の中に細菌や微生物が数百種類も住み着いているなんて、なんだか恐ろしいことのように思えますね・・・。
しかし実はこの常在菌それぞれが自分の仲間を増やそうと勢力争いすることで、お口の中の菌のバランスが安定し、私たちの健康を守るバリアになっているとのこと。
外から侵入してくる病原菌やウイルスは、常在菌のバリアに阻まれて入り込むことができないのです。
ただし、疲れやストレス・栄養不足などで身体の免疫力が低下すると特定の常在菌が勢力を伸ばしバリアのバランスが崩れます。
その結果、他の病原菌やウイルスの侵入を許し風邪やインフルエンザになったり、普段は押さえ込まれているむし歯菌も動きを活発にし、むし歯を引き起こします。
このようにお口の中では常在菌同士の勢力争いと、人体の持つ免疫力との戦いが行われ、私たちの健康はその奇跡的なバランスの上に成り立っているのです。
赤ちゃんのお口とむし歯菌の関係
それでは赤ちゃんのお口の中の常在菌はどうなっているのでしょうか?
実は生まれたばかりの赤ちゃんはまだお口の中に常在菌が定着していません。赤ちゃんの柔らかい組織しかない口の中では、細菌や微生物は住み着くことができないようです。
ではいつから菌たちが住み着きはじめるかというと、硬い乳歯が生えはじめる時期がそのタイミングとなります。この時期に育児に関わる人や周りの環境から細菌や微生物が定着しはじめます。
そして乳歯が生え揃う3歳頃になるとその赤ちゃん特有の常在菌バランスが決定されるのです。
先ほども説明したように、一度バランスが決まり安定した常在菌は他の細菌やウイルスの侵入を防ぐバリアとなるので、3歳頃までにむし歯菌を遠ざける生活ができれば、むし歯になりにくい常在菌バランスとなることができるということになります。
というわけでカラベアが調べた結果「3歳までにむし歯菌に感染しなければむし歯になりにくい体質になる」というのはホントだということが分かりました。
ここまでの話で、「じゃあ、むし歯菌を遠ざける生活っていうのは具体的にどうすれば良いの?」と疑問に感じる方もいらっしゃると思います。
そちらも説明させていただきますね。
むし歯菌を遠ざける生活とは?
むし歯菌を遠ざけるには3つのポイントがあります。それは
-
むし歯菌を感染させない
-
お口の中を清潔に保つ
-
むし歯菌のエサとなる砂糖を与えすぎない
の3つです。
むし歯菌の主な感染源は、育児に関わる赤ちゃんの周りの人です。まずは菌を感染させない行動を心がけ、次に感染してしまったむし歯菌を繁殖させ定着させない生活習慣が大切になってきます。
むし歯菌を感染させず定着させないための具体的な行動や生活習慣を挙げてみましょう。
1.むし歯菌を感染させない
- 赤ちゃんの乳歯が生えはじめる3か月前から、家族や育児に関わる人たち全員がむし歯治療を終えて、むし歯予防を徹底する
- 歯ブラシや顔を拭くタオルを共用しない
- 大人用と子ども用でお箸やスプーン、お皿などの食器を使い分け
- 口移しで食べ物を与えない
- キスなど直接口を近づけるスキンシップを控える
- スキンシップを図る前に歯磨きやうがいなどで口の中を清潔にする
2.お口の中を清潔に保つ
- 食後すぐの歯磨きの習慣づけ
- 歯についた食べ物を洗い流すため、よく噛んで食べる
- お口の自己洗浄作用が効果的に働くよう2時間以上空けて、食事とおやつの時間をしっかり決める
- 寝る前の糖分の摂取がむし歯菌の繁殖につながるため、前歯4本の乳歯が生え揃う1歳過ぎくらいから授乳を卒業する
3.むし歯菌のエサとなる砂糖を与えすぎない
- アメやキャラメルなど長く口に留まり、だらだら食べになる甘いものを避ける
- 水分補給は水やお茶を中心に、ジュースやスポーツドリンクは飲みすぎない
- チョコレートとお茶、ジュースとおせんべいなど、甘いモノ+甘くないモノなど組み合わせのバランスをとる
- 菓子パンや果物の缶詰など子どもが食べやすいモノ、みりんやソース、ケチャップなど味が濃く砂糖が多く含まれる調味料を摂りすぎない
- 歯を溶かす酸性の食品を摂りすぎない
むし歯を遠ざける生活のために気をつけたいことを、いろいろと挙げてみましたがどう感じるでしょうか?
カラベア目線では、普段からしっかり気をつけている部分もあれば、そこまで気にする余裕あるかな・・・と不安を覚える部分もあります。
それにいくら自分や家族が気をつけていても親戚や友人など周りの人にまで、配慮を求めるのが難しい場面が多々あるのも困り物ですね。
むし歯菌を遠ざける生活は実現できるのか?
むし歯を遠ざける3つのポイントを踏まえた行動や生活習慣を守り抜き、むし歯菌を遠ざけむし歯になりにくい体質を手に入れることは誰もが実現できるのでしょうか?
口移ししない、キスなどのスキンシップを控える、お箸やコップ・お皿などの使い分けるなど制限し、絶対に子どもにむし歯菌を感染させないと意気込むと、気にしなければならないことがあまりにも多く現実的ではないように感じます。
これはカラベアの個人的な意見も含みますが、むし歯予防のためには、むし歯菌を感染させないことはある程度妥協して、むし歯菌を繁殖させないことを特に気をつける方が効果的だと思います。
もし仮に赤ちゃんにむし歯菌が感染したとしても、それですぐにむし歯が発症するわけではありません。お口の中が清潔で、むし歯菌のエサとなる糖分がなければむし歯菌も悪さをすることはできませんので。
赤ちゃんへのキスを我慢し、口移しやお箸の使い分けなどを積徹底的に管理することが、赤ちゃんと家族の豊かなスキンシップのチャンスを奪ったり、窮屈な生活を強いることになるのであれば、思いきって妥協することも選択肢のひとつです。
さらに言えば、むし歯菌を感染させないための行動が、赤ちゃんが本来持つべき口腔内細菌や腸内細菌を得る機会を奪い、免疫力獲得が行えずアレルギー疾患につながる可能性も否定できません。
むし歯菌を増やさないために必要となる歯磨きや口腔ケア習慣、栄養バランスを考えた食習慣、規則正しい生活習慣などは、歯周病予防をはじめ健康を守るための基本と同様です。
結局のところ、歯磨きや口腔ケアは一生付き合っていかなければならない必要な習慣ですので、そちらをしっかり習慣づければ、むし歯菌がうつることを必要以上に怖がることはないと思います。
というわけでカラベアのむし歯予防のための心掛けをまとめさせていただきます。
「あまりむし歯菌の感染ということは気にしすぎない」
「食後こまめな歯磨きや口腔ケアでお口の中を清潔に保つ」
「砂糖の量や食事時間を管理して糖分の摂り方に気をつける」
ということと、赤ちゃんと家族のコミュニケーションのためにキスなどスキンシップをたくさんとることをオススメします。
そして栄養、運動、睡眠といった部分に関わる基本的な生活習慣を良くすることで、他の病気の予防と一緒にむし歯対策も行えれば理想的ですよね。
正しい口腔ケアに関しては、定期的にお口の中の状況をチェックしてもらうことも大切です。かかりつけの歯医者さんで、専門的な口腔ケアの方法も一緒に教えてもらいましょう。
ここで豆知識をひとつ。
糖分をほとんど摂らないイヌやネコはむし歯菌を持っていないそうです。
しかし、毎日糖分を含むお菓子を与えられていたイヌの口からヒト由来のむし歯菌が見つかったことがあるとのこと。
そして、ハチミツをよく食べるクマの口の中や、毎日果物を与えられる動物園のゾウの口の中からもむし歯菌が発見されるそうです。
むし歯菌の繁殖には砂糖の影響がとっても大きいんですね。以上、豆知識でした。
ということで今回は、「3歳までにむし歯にならなければ一生むし歯にならないはホントか」についてお話させていただきましたが、いかがだったでしょうか?
カラベアも正しいむし歯の知識を身に着けて、赤ちゃんやお子さんのお口の健康を守る情報提供をしていきますよ!
それでは最後まで記事を読んでいただきありがとうございます。また皆さんが気になる情報をお届けしていきますね!
このブログ記事は、「はてなブログ」で掲載しています。はてなブログの方はよろしければ読者登録してくださるとカラベアがとっても喜びます。
コメント